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地域と環境維持のための銀行業

二〇一〇年一二月にワン・カリフォルニア銀行はショアバンク・パシフィックを買収し、名前をワン・パシフィックコースト銀行(以下、OPCと略)と変えました。この買収により、一九九七年にコミュニティバンク(地域共同体に奉仕する銀行)としてワシントン州で開業したショアバンク・パシフィックの理念も受け継ぎ、OPCは米国西海岸で広く活動を行うことができるようになりました。預金が一定額まで保証されており、連邦法に基づく銀行であるOPC(米国ではほかに州法に基づく銀行もあります)は「トリプル・ボトムライン・アプローチ」という手法に基づき、地域と環境維持のための銀行業を行っています。

OPCは経済の成功に健康な環境は不可欠のものと考えます。また公正、透明、持続可能な銀行商品やサービスを提供することで地域社会の変化を促すことができると信じています。これが私たちの使命(ミッション)です。私たちの理想とする銀行業のあり方は、最も交渉力の弱い人々、特に従来最も銀行から遠ざけられていた人たちに、私たちが活動する地域すべてにおいて、金融サービスの道をひらくことであり、責任感のある顧客に長期的な繁栄をもたらし、金融制度を安定化させ、共有財産である環境を維持することです。これを「ペネフィシャル・バンキング」と呼んでいます。顧客との対話の中で、今後一〇〇年を見通して同じ事業が営めるかなども尋ねます。

米国西海岸という地域性を考慮して、特殊農業(環境改善に益する農業)および農産品加工、自然エネルギー、オフィスのグリーン化(環境適応、省エネルギー)、低所得者向け住宅取得などの用途に使われるローンを提供します。(中略)地域共同体の繁栄が重要であるとの認識に基づいて、預金やローンから上がる収益の一部を地域活動などに寄付しています。(二〇一一年六月一七日現在のホームページから抜粋、編集)二〇〇七年の創業時は「低所得者向けの住宅取得」に主眼が置かれていたと記憶していますので、現在(二〇一一年夏)は、環境や新エネルギーなどに重点がシフトしているように思えます。

リーマンショックやその後の不況や失業の発生により、貸倒率が高まったこと、低金利とビジネスを両立させるモデルが稀であることなどが原因かもしれません。低所得者層向け住宅融資に関しては、財団がOPC(銀行)の株主になっており、ホームページでも財団への言及があるので、OPC財団が別途、これを行っている可能性もあります。ホームページだけからは、銀行が定めている金利のレベルや貸出金額の上限、あるいはグラミーン銀行が義務付けている各種条件などがハッキリしなかったため、創立者であるテイラー女史に問い合わせを行いましたが、返事がなく、ここでの分析がかなわなかったことを付け加えます。