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カリフォルニア州オークランドでの挑戦

銀行がマイノリティ(人種的少数派、黒人、ヒスパニック、ネイティブ・アメリカンなどの人たち)に対して、マジョリティである白人に対する基準より厳しく貸し付けている実態が明らかになるとアファーマティブ・アクション(少数派が不利にならない各種の施策)の一つとして、銀行のマイノリティ向けの融資残高や融資比率などが是正の対象として注目されるようになりました。一九六〇年代から始まった動きですが、私、津田が米国に駐在していた八〇年代でもまだ不徹底である(つまり、マイノリティは借り難い)といわれていました。具体的にはこんなことです。

一般的な白人家庭(夫婦共に白人で、子どもが二人)なら年収が五万ドル(一ドル八十円換算で、四百万円)でその五倍である二十五万ドル(約二千万円)のローンを借りることができるのに対し、マイノリティの家庭(夫婦共に黒人で、子どもが四人など)は年収が十万ドル(約八百万円)ないと貸してもらえない、といった具合です。実際には十万ドルの年収があるマイノリティの家庭は極めて少ないので、通常の銀行から借りることができず、ほかの金融業者や不動産業者に頼ることになるのです。これがサブプライムローンといわれる高金利商品(借り手にとっても、投資家にとっても)の実態の一面です。

サブプライム(準優遇金利)といいながら、その実態はプライムレート(最優遇金利)よりも一〇%も高い金利を払わされていたマイノリティ家庭が、失業や年収の減少、あるいは生活費の高騰などにより、元利金の支払いを滞らせたのも無理のないことです。デフレの時代の一五%(ドルでも円でも)というのは立派な「高金利」ですから。こうしたマイノリティに対する実質的な差別をなくそうと、いくつかの試みがなされてきました。キャサリンニアイラー女史はマイノリティが住宅ローンをなかなか借りることのできない状況に業を煮やして、自ら貧しい人たちのための金融機関を作ることを思い立ちました。

NPOである財団が株式の一〇〇%を所有している銀行、ワン・パシフィックコースト銀行(設立時は、ワン・カリフオルニア銀行)です。以下、ホームページをもとにこの銀行の概要(直訳ではなく意訳)をご紹介します。ワン・パシフィックコースト銀行は、キャサリン・テイラーとトム・スタイヤーによって、持続可能でコミュニティ(地域共同体)にとって意味のある銀行とそれを支えるNPOを作ろうという意思から生まれました。これは、二〇〇七年にカリフォルニア州オークランド市で、ワン・カリフォルニア銀行とワン・カリフォルニア財団として結実しました。